SHADOW BOYS第10話『ROOM207―RYOSUKE』
★Hey!Say!JUMP『真夜中のシャドーボーイ』のPVから着想を得て、美夜が個人的に書いたオリジナルの短編小説です。
J事務所・アーティスト本人とは一切関係はありません。
無断転載禁止。
感想などいただけたら嬉しいです。★
〔ROOM207-RYOSUKE〕
『リョウスケ。みんな集まってるよ』
ユウトの声が、脳裏に響く。
テレパスを通じて届く彼の声は、少し震えていた。
彼は一体、何に怯えているのだろうか。
僕は椅子に腰掛けながら、廊下へと繋がる扉を睨む。
RIGHTたちの足音は、聞こえてこない。
まだ時間があるようだ。
それなら、謎解きを始めようか。
今夜の謎を、全て解き明かそう。
発端は、SHADOWの任務中、RIGHTたちに襲われたこと。
そして、一度撒いたにも関わらず、このアジトにも先回りでRIGHTたちの追っ手が潜んでいたこと。
今、RIGHTたちは後続の部隊と合流し、僕たちSHADOWを追い詰めているわけだ。
明確なことが一つある。
SHADOWの中に、裏切り者がいる。
その事実は、恐らくSHADOWの全員が認識しているだろう。
だけど、問題はそんな小さなことじゃない。
そのことに、誰も気付いちゃいない。
そもそもSHADOWとは何なのか。
それを分かっていない。
SHADOWの存在を、そしてCHERRYの存在を、彼らは読み誤っている。
SHADOWがCHERRYのために作られた?
CHERRYのために動く?
それは全て、コウタの作ったまやかしに過ぎない。
CHERRYに復讐するための最強部隊として、コウタの手により、SHADOWは作られた。
そして、僕たちは集められた。
それぞれがCHERRYのために戦う理由がある。
更に、特殊な能力を持っている。
SHADOWは、CHERRYを殺すに足る能力を備えている。
彼らは知らない。
全てがコウタによって仕組まれたものであることを、わかっちゃいない。
CHERRYに対する裏切り者は誰か。
そういう括りで言えば、主犯者はコウタになる。
だが、それが今回の事件の首謀者とは異なる。
コウタによって作られた、あたかもCHERRYからの命令かのように知らされた、今回の任務。
それを知りえた10人のSHADOW。
果たしてそれをRIGHTに漏らしたのは誰なのか。
SHADOWの中に、本当にCHERRYのために働く者などいない。
いや、むしろ全員がCHERRYを狙っている。
CHERRYを守るという名目の元に集まっているが、心の中ではCHERRYを倒すことを求めているヤツばかりだ。
CHERRYの力を奪おうとしている。
CHERRYに利用されるのではなく、利用しようと企んでいる。
目的はRIGHTと同じなのだ。
争い続けてきたRIGHTもSHADOWも、心の中では同じ目的を果たそうとしている。
つまりは、SHADOWの誰もが、裏切り者でありうるのだ。
だから、僕にとって、今回の件で誰が裏切り者かなんていうのは、大した問題じゃない。
今回の犯人がケイとリュウタロウの二人だとわかったとしても、何の意味もない。
次は違うヤツが裏切るかもしれないのだから。
SHADOWとは、それほど脆いものなんだ。
そして、RIGHTはその脆さに付けこんで来る。
CHERRYの血が手に入るのなら、ケイトは何でもするだろう。
あいつは、自分の死だけを願って生きているのだから。
己がなぜ吸血鬼になったのか。
その原因がCHERRYにあることを、長い年月を生きてきたケイトは忘れているかもしれない。
少なくとも、CHERRYへの復讐心なんてものは、消えうせてしまった。
ケイトがCHERRYに求めるのは、ただ血だけだ。
その血が奪えるのなら、CHERRYを倒すのがSHADOWだろうとRIGHTだろうと、きっと彼は厭わない。
ケイトは、自分が死ぬことだけを考えている。
最強の男になるためなら、リュウタロウは手段を選ばない。
そして、彼は気付いているだろう。
一番になるためには、いずれCHERRYを倒さなくてはならないことに。
誰よりも強いのは、CHERRYだ。
己が一番になるためには、いつかはCHERRYが邪魔者になる。
CHERRYの力によって自分の能力を開花させるか。
RIGHTの研究によって、自分の力を覚醒させるか。
いずれにしろ、その先にCHERRYとの戦いが約束されていることには変わりない。
CHERRYがこの世で最も強いのだから。
CHERRYを越えない限り、最強の男にはなれない。
ユウトのテレパス能力を消す研究は、ユウトを敵と捉えるRIGHTも行っている。
その成果が出れば、ユウトにとってCHERRYなど何の意味も無くなる。
ユウトの能力を消したいと願っているのは、誰よりもユウト自身なのだから。
そもそもユウトは、SHADOWがコウタによって作られたものだと、コウタの心情を読み取って知っている。
そして、コウタ自身も、それを分かった上でユウトを利用している。
ユウトが逆らった時点で、コウタはユウトの命を容易く奪うだろう。
人間であるユウトが、死を恐れるのは当然のことだ。
ユウトは怯えながら、SHADOWの任務を請け負ってきた。
SHADOWの他のメンバーを騙しながら。
裏切り者の片棒を担ぎながら。
ヒカルは国のことしか、いや天皇のことしか考えちゃいない。
天皇がCHERRYの命令に従いっぱなしであることに、不満を感じている。
それが全てコウタの策略だったと知ったら、どうするだろうな。
天皇を操っているのはコウタだと知ったら。
きっとヒカルはコウタと争うだろう。
かつてユウヤを狼の世界から葬ったように、コウタも消すのだろう。
そして、味方ではなく、ただの脅威だと判明した時点で、CHERRYも討伐対象となる。
ヒカルの全ては、天皇のための人生でしかない。
宇宙から迷い込んできたケイ。
自分がCHERRYの力によって、こんな地球に連れてこられたということに、ケイは気付いている。
なぜCHERRYがケイを呼び寄せたのか。
そんなことなど考えもしないで、ケイはただCHERRYを憎んでいる。
今はCHERRYのご機嫌をとって、いつか星へ返してもらおうと任務を果たしてはいる。
その任務はCHERRYのためではなく、CHERRYを追い詰めるものであるとも知らずに。
だが、RIGHTだって馬鹿じゃない。
地球における宇宙へ向けた科学技術の研究は日々進歩しているし、その中でもRIGHTという特殊機関は格別の成果を出している。
そして、SHADOWの任務の中で、ケイの能力も格段と成長している。
この星から抜け出せるとわかったら、自在に空間を移動する能力を手に入れたら、ケイはどうするだろうか。
大人しく自分の星に帰るか。
それとも、自分を勝手に呼び寄せたCHERRYに復讐するか。
答えはケイの中で、もう出ているようだ。
CHERRYの力によって、人型を手に入れたダイキ。
感謝こそすれ、恨むなどお門違いだ。
SHADOWの任務は、CHERRYからの命令だと信じているダイキは、己に血を流させるCHERRYを酷く憎んでいる。
CHERRYから逃げ出したいと願っている。
CHERRYを倒せば自由になると、心のどこかで信じている。
愛は心を狂わせる。
愛は理性を狂わせる。
人を愛したダイキは、きっと何だってするだろう。
ユウヤはいつか気が付くだろうか。
己を人の姿に貶めたのは、陰陽師のヒカルだが、それを命じた天皇は、誰に操られているか。
狼族の頭領であるユウヤの力をSHADOWに引き込もうと画策した、コウタの存在に気が付くだろうか。
いや、そのためにはSHADOWがCHERRYによるものではなく、コウタによって作られたと気付く必要もある。
ユウヤはいつ真実に辿り着けるだろうか。
そして、真実を知ったとき、ユウヤは誰を倒すだろうか。
復讐を果たすためなら、ユウヤは手段を選ばない。
絶望の淵に立たされた者は、とても恐ろしい。
CHERRYへの復讐を願い、SHADOWを結成したコウタ。
RIGHTと共謀しないのは、自らの手でCHERRYを倒したいからだろう。
己の力で、CHERRYを倒すことを望む。
そのためには、どんな犠牲も厭わない。
今回の裏切り者が誰だかわかったら、きっとコウタはそいつを消すだろう。
躊躇いもせず、消すんだろう。
コウタにとって大切なのはCHERRYだけだ。
自らの手で、CHERRYを殺すことだけを望んでいる。
天使であるユーリは、強大な神と戦おうとしている。
神と渡り合えるのはCHERRYだけだから、CHERRYの力を得ようとしている。
愚かだ。
CHERRYの力を得ようとも、神を倒せはしないのに。
叶わぬ夢のために、己の運命を変えようと躍起になっている。
ユーリは、誰からも束縛されない世界を求めている。
もしCHERRYが神を倒したとしたら、その先に何がある。
ユーリにとっての脅威は、CHERRYになる。
聡明なユーリは、もうそのことに気付いているはずだ。
己の自由は、CHERRYの力を奪い、神だけでなく、CHERRYをも倒した上にしかないと。
CHERRYの死の上にしか、求めている世界はないのだと。
だが、SHADOWにも、RIGHTにも、CHERRYを倒せはしない。
僕が、CHERRYを守るから。
命に代えても、CHERRYを守るから。
彼らは求め続けるのだろう。
己の心に宿った、それぞれの目的のために。
CHERRYを求め続けるのだろう。
誰が来ても、受けてたとう。
その幻想を、崩してやろう。
全ては定められた運命の上での小さな出来事に過ぎない。
結果は決まってるんだよ。
僕がCHERRYを愛したときから、未来は決められた。
誰にもCHERRYを渡しはしない。
CHERRYの望むままに、CHERRYの望む場所で、共に生きる日が来るまで。
RIGHTだろうとSHADOWだろうと、僕が潰してみせる。
「君を、傷つけずに、愛したい」
ただ、君を愛したい。
悪魔である君であっても。
竜神である僕であっても。
一緒に生きていきたいから。
CHERRYの正体を悪魔だと知ってしまったケイトは、その血で呪われてしまった。
その呪いを解くために、全ては始まった。
ケイトの命を終わらせるためには、強大な力が必要だった。
だが、CHERRYにそんな力などない。
CHERRYは悪の烙印を押されたが、優しい心の持ち主だから。
人を愛したダイキを、人型に変化させたCHERRY。
心を読んでしまうユウトに、自分の心を隠し続けたCHERRY。
誰かを生かしこそすれ、殺すことなどCHERRYにはできない。
誰かがケイトを倒さなくてはならなかった。
そのために、コウタの力を覚醒させなければならなかった。
そこから悲劇は始まった。
天皇を通じ、利用されたヒカル。
そして、そのヒカルによって、地位を失ったユウヤ。
幻想のように語られるCHERRYの力に憧れたリュウタロウとユーリ。
CHERRYは、繰り返される争いに心を塞いだ。
CHERRYはただ、幸せになりたかっただけなのだ。
安楽の地を求めていた。
そのために、ケイが呼び寄せられた。
CHERRYを、楽園へと送り届ける役割として。
だが、彼までもがコウタに取り入れられてしまった。
僕しかいないんだ。
CHERRYの夢を叶えるのは、僕しかいない。
CHERRYを守るのは、僕しかいない。
神と悪。
相反する二人でも、そこに愛があるのならば、きっと乗り越えられるはずだ。
「待っててよ、CHERRY」
僕は戦う。
愛する人のために。
CHERRYを守るために。
CHERRYの笑顔を求める。
扉が、開かれた。
そこに、僕はいない。
Fin
いや、何かもうすみません。
最終話は竜神・リョウスケでした。
凄い引っ張った割に大した終わり方じゃなくてごめんなさい。
まとまらなくてごめんなさい。
こんな壮大な話になるとは書き始めたときには考えてもいなかったんです。
ただ吸血鬼の圭人に血を吸われたら萌えだなって、ただそれだけから始まったんです!笑。
それがこんな大事になるとは・・・。
でも、とりあえず書き終えてよかった。
書いていく内に、「ああ、あの設定をこうしたい」とかいろいろ出てきたけど、書き直してたらキリがないので、このまま行きます。
一応、一ページに纏めてHPに繋げようとは思っていますので、そちらで第1話から読み直して貰えたら嬉しいです。
言い訳はいろいろしたいです。
が、言っても仕方ないので、諦めます。
あ~、でも何だかんだ言っても楽しかったのです。
ありえないくらい何度も曲を聴いたし、PV見たし、メンバーのことを考えて2週間を過ごしました。
JUMP愛が深まりました。
それだけで書いた意味があるんじゃないかと思います。
あわよくば、この小説を読んでJUMPをもっと好きになったとか、JUMPに興味を持ったという方が出てくれたらもう感無量であります。
んんん、結局言い訳してやんの。
とにかくフィニッシュです!!!
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コメント
momoさん>
おはようございます。
うぎゃー、小説の感想ありがとうございます。
いや、こんな長い最終話、誰にも読んでもらえないと思っていたので、凄く嬉しいです。
ヒカルは気遣いの人、メンバー全体を見ている人という設定にしてみました。
何より優しい人というのが、私の八乙女光くんのイメージです。
ファンの方と一致していて良かったぁ。
コウタはいきなり暴走して、かなり重要なキャラになっていったのですが、結果として彼のリーダー性(実際はグループにリーダーは作ってないみたいですけど)を表現できたかなと思っています。
ラジオや雑誌を全く知らないので、彼らのキャラ設定をそんなに深くまでは描けなかったけれど、それでも一人一人の個性を感じて貰えたら嬉しいです。
本当におコメくださり、ありがとうございます!!
美夜。
投稿: 美夜 | 2008年11月 6日 (木) 08時47分
小説、完成おめでとうございます。
とても楽しく読ませて頂きました。
メンバーそれぞれの性格が個々のキャラクターに反映されていて、メンバーが本当にその役を演じているかのような妄想もしてしまうくらい楽しい小説でした。
ヒカルについて“『気遣いの人』みんなを見てくれている人”と美夜さんに思って頂けているようで、とても嬉しかったです。
今の彼のグループ内でのポジションは本当にその通りだと思っているのでっ。
・コウタがグループをまとめてひぱっり
→ヒカルがみんなをフォローしつつ盛り上げる
この図式が小説でも表現されていてとても嬉しかったです。
楽しい小説をありがとうございました。
投稿: momo | 2008年11月 6日 (木) 01時14分